(2025年度オープンキャンパス外国語学部説明会 学生座談会より)
ドイツ語学科 濱川遼太さん
① なぜ上智大学の外国語学部、自分の所属学科を選びましたか?
移民問題に強い関心を持ち、多角的な観点から研究できる環境を求めていたからです。幼少期に移民国家であるオーストラリア・シドニーで暮らした経験がきっかけになっています。日常的に多様な人種が過ごす社会に身を置いた経験から、「どのようにして彼らは社会に溶け込むのだろう?」と、自らも「移民」でありながら、移民政策というテーマにぼんやりと関心を抱きました。
そして高校でのドイツ語学習を通じ、移民統合において同様の課題を抱えつつも移民政策において先進的な取り組みを行うドイツに関心を深めました。上智大学外国語学部ドイツ語学科は、ドイツの現状を学ぶだけでなく、在外履修制度を通じて現地での実地経験も可能であり、このテーマを深く研究する上で理想的な環境であると考え、志望しました。
② 入学後どのような変化(意識、成長など)や発見がありましたか?
当初はドイツ語を学ぶことが目的になっていたのですが、ドイツ語を使って学ぶことに楽しみを覚えるようになりました。つまり、ドイツ語を学ぶことが目的から手段に切り替わったことが、入学後の一番の発見です。入学してからは一度高校で学んでいたとはいえ、ドイツ語の授業の課題についていくのでいっぱいいっぱいでした。ただ、そうした研鑽を積んだ結果、身についたドイツ語がネイティブに通じた時は大きなやりがいを感じましたし、在外履修制度を通じてドイツ語圏を訪れた時にもそれを強く感じました。
また、意外にも自分はドイツ語そのものも好きなことに気付かされました。例えばドイツ語で茄子はAubergineというのですが、これはイギリス英語の茄子と同じ綴りです。一方で、オーストリアドイツ語の茄子はMelanzaniといい、不思議なことにこれはイタリア語の茄子 Melanzanaとどこか類似性があります。ロマンス語とゲルマン語は言葉が全く違うのに、なんでほぼ同じ響きなのだろう?と思い、ドイツ語の方言についても少し学び始めました。ドイツ語そのものがさらに好きになったことも、入学後の変化です。
③ 研究テーマや留学、就職などについて教えてください。
留学について:
ドイツ語学科の制度である在外履修は、2年生の秋から半年間、ドイツ語圏に滞在して現地で大学生活を送る、といった制度です。それを利用して私はオーストリアのグラーツという街に滞在していました(外国語学部の別のページで在外履修の体験ブログを書いているのでリンクを掲載していただけると嬉しいです…)。留学先での印象的な出来事としては、オーストリアドイツ語を学ぼうと思い、自ら現地で勉強会を立ち上げたことです。現地大学生に日本語を教える傍ら、こちらは現地のオーストリアドイツ語を学ぶ形式で、定期的に皆で勉強していました。またオーストリアは言わずもがなカフェの国。オーストリアでしか通用しないコーヒーに関するドイツ語もあるくらいの国ですので、カフェにも皆でよくいきました。日本人はドイツ語で話しながら現地人は日本語で会話を返す、みたいなこともしていました。ほかでは、オペラを観にいって、幕間に皆でコーヒーを飲みながら談笑したり、ウィーンに行きつけのカフェを作って地元の人と仲良くなったり、街の真ん中に位置するシュロスベルグ(城山)の上で皆と集まったりしていました。楽しい日々でした。
就職について:
上記に記した勉強会開催の経験が自分の就活の礎になりました。9,000kmも離れた人口29万人のオーストリアの小さな街でも、「日本」という島国の言語である、日本語を学ぶ人がいることにただ驚愕したのです。そこから「0から新しい挑戦に踏み出す人々の背中を押したい」と思うようになりました。挑戦にはリスクがつきものです。将来は国内外問わず挑戦する世界中の人間の支えになりたいと考えています。来年の4月からはそのような理由で損害保険会社への就職が決まっています。
④ さいごに、高校生に向けて、上智大学外国語学部の魅力を伝えてください。
上智での学びを通じて、言葉は単なる知識ではなく、関わりの中で意味を持つ「行為」なのだと気づきました。語彙を増やすことや文法を覚えること以上に、それを使って誰かと話し、誤解し、また理解し直す——そんな営みの中で、言語は生きたものになるのではないかと。外国語学部には、その営みを支える環境が日常に組み込まれていると強く思います。廊下ではさまざまな言語が交差し、LLC*や留学制度などを通じて、教室の外でも学びが続いていく、すなわち「学ぶ」ことと「使う」ことが地続きである環境です。ゆえに上智大学外国語学部は「言葉を学ぶ」のではなく、「言葉で生きる」場所であり、それが同時に魅力であると考えています。
*言語教育研究センターが運営する語学学習をサポートする施設