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留学BLOG

2025.04.14

政治の中心 Sciences Po における国際的な学び

原 渚紗

私は20239月から1年間、Sciences Po(パリ政治学院)に交換留学をしました。一般的なフランス語学科の学生と異なり、英語によるプログラムに参加しました。

1. インターナショナルな環境
Sciences Poでは、フランス人学生は学部3年次に海外へと留学します。キャンパスには世界各国からの学生が集まり、国際色豊かな環境です。フランスにいながらも多様な価値観や文化に触れることができる環境は、Sciences Poの大きな魅力の一つです。
留学生の多くは欧米諸国の出身ですが、私が親密な関係を築いたのは、アジアからの学生でした。また、Sciences Poには難民の学生を受け入れるための特別プログラムがあり、彼らと交流できたことは、日本では得がたい貴重な経験となりました。

難民プログラムの学生が、自国の料理を持ち寄ったパーティー

2. 授業
Sciences Poの特徴の一つに、学部の枠を越えた学際的なカリキュラムがあります。政治学や国際関係論を中心に、社会学、経済学など幅広い分野を横断的に学ぶことができます。英語で開講される授業では、フランス人学生はごく少数で、ほとんどが交換留学生です。
私は主に環境政策に関する授業を履修しました。各国から集まった学生たちが自国の制度や現状について共有し合い、それを元に議論が展開されました。日本では、上智大学での授業を通して、市民主体で環境問題に取り組むボトムアップ型のアプローチを学び、学内の環境活動サークル「だからこそ、Sciences Poで触れた政府主導のトップダウン型アプローチは、これまでの経験とは対照的でありながらも、新たな視座をもたらす、示唆に富んだ学びとなりました。 

3. 課外活動
Sciences Poでは、学生団体の活動が活発であり、大学側もその活動を積極的に支援している点が印象的でした。特に政治への「関心が高く、大規模なデモ活動やキャンパスが封鎖されて休校となることもありました。これは、学生が社会に対して強い当事者意識を持っていることの現れであり、大きな刺激を受けました。
私は環境活動団体「Sciences Po Environnement」に参加し、ヴィーガンクッキングやゴミ拾いといった活動に取り組んでいました。これらを通じて、フランスにおける環境意識や市民運動の在り方を体感することができました。
また、日・韓・仏の文化交流を目的としたサークル「Ramen-toi」にも所属しました。フランス人学生との交流を増やすことが目的でしたが、実際には日本人は韓国人と親しくなることが多かったです。

デモの様子

Sciences Po Environmentのクリスマスプレゼント交換は、
ハンドメイドかセカンドハンドのみ。

4. フランス語
英語で開講されている授業にはフランス人学生の参加はごくわずかであり、パリでの生活も英語のみで支障なく過ごせてしまいます。そのため、意識的に行動しなければ、フランス語を使用する機会やフランス人学生との交流の場が限られてしまうのが現実でした。
語学力の向上を目指し、私はBuddy ProgramLanguage Exchangeなどの活動に積極的に参加し、フランス語でのコミュニケーションの場を自ら作るよう心がけました。また、フランス語の授業も履修していましたが、担当教員との相性や指導スタイルにはばらつきがあり、授業の質には差が見られました。
当初は、つい英語に頼ってしまう場面が多くありましたが、留学生活の終盤には、ある程度の日常会話がフランス語でできるようになりました。

5. パリでの住まい
Sciences Poには学生寮がなく、住まい探しには苦労しました。
掲示板やエージェントに手当たり次第連絡を取りましたが、詐欺のような返信が届いたり、「借りる直前になってから連絡してほしい」と言われたりと、安心できる物件を見つけるのは簡単ではありませんでした。
最終的には、日本の不動産エージェントを通じて、15区にある小さなstudioを借りました。仲介手数料に加えて、家賃は諸費用込みで月850ユーロほどと予算を超えましたが、初めての海外での一人暮らしということもあり、安全性には投資すべきだと考えました。エージェントや大家による手厚いサポートのおかげで、安心して学業に集中することができました。
15区は閑静な住宅街で、大学までメトロで一本と便利です。大きな気球が目印のJavel – André Citroën公園はお気に入りの場所で、毎日のように散歩に出かけていました。
留学生活の終盤には、現地で仲良くなった友人の家に一時的に住まわせてもらう機会もあり、それも楽しい思い出の1つです。パリでの生活に慣れた今では、現地の学生とコロカシオン(ルームシェア)をしたり、banlieue(郊外)に住んでみるのも面白いかもしれないと感じています。

芝生で昼寝をしているお兄さん、気持ちよさそう。

6. おわりに
フランスへの留学、そしてSciences Poという場所を選んで本当に良かったと感じています。多様な背景を持つ世界中の仲間たちと出会い、数えきれないほどの新しい経験を重ねることができました。これから留学を経験される皆さんにとっても、その時間が有意義で実り多いものとなりますように。

エッフェル塔が見える毎日