つながろう世界、つなげよう声。上智のイスパから
語学学習そのものは大学以外でもできますが、イスパニア語学科では、それぞれ異なる動機や関心を持つ仲間と、語学学習の困難な局面を共に乗り越え、しだいにイスパニア語で伝えられることが増えていく喜びを共に感じながら学びを進めていきます。イスパニア語という言語の学習を通して、他の文化を知り、物事を相対化する能力を身につけてより人間として広く深く成長することに加え、仲間とのかかわりを通じて自分だけでは気づくことのないものの見方を知ることもできます。
イスパニア語学科では、イスパニア語を自分のことばとして使えるようになること、それに加えて、イスパニア語が話されている地域に関する基礎知識を幅広く身につける(「イスパニア語圏のジェネラリスト」になる)こと、さらに、自分の研究分野についての深い知識を得る(「~についてのスペシャリストになる」)ことを目指します。イスパニア語で発信された情報を自分で集め、文献等も読みこなし、自動翻訳では見えなくなってしまう機微までをも読み取り、自分もイスパニア語で発信することができるようになります。
日本にはイスパニア語圏の国々でビジネスを展開している企業が多くあるので、将来的には就職先でイスパニア語を使う部署に配属されたり、イスパニア語圏の国々に駐在したりする可能性があります。また、在学中に培った堅固な基盤を活かしてスキルをさらに伸ばし、翻訳者、通訳者といった専門職に就くことも可能です。そして、たとえイスパニア語を使う仕事に就かないとしても、イスパニア語とイスパニア語圏のことを知ったあなたは、世界にはさまざまな価値観があること、そうではあっても人間としての本質的な価値は等しいのだということを、周囲の人たちに伝えていく役割を担っていけるはずです。
Why イスパニア語?
「イスパニア語」(上智大学では伝統的に「スペイン語」のことを原語でのスペインの国名「エスパーニャ」により忠実にこう呼んでいます)は、なんといってもその話者数と使用地域の広さが魅力です。
イスパニア語を公用語としている国・地域(=イスパニア語圏)は全世界にまたがり、ヨーロッパに位置するスペイン、アメリカ大陸およびカリブ海に位置するメキシコからアルゼンチンまでの18カ国、アメリカ合衆国の自治連邦区であるプエルトリコ、アフリカの赤道ギニアと合計21にのぼります。また、アメリカ合衆国にも2024年時点でスペインの人口を上回る数のヒスパニック(ラテンアメリカの中のイスパニア語圏にルーツを持つ人々)が住んでいます。
これだけの言語ですから、イスパニア語を学んでいる人も世界中におり、母語話者から学習者までを合わせると、2024年には6億人を超えたとされています。一方、世界から国内に目を向けても、主に南米出身のイスパニア語話者が多く住んでいる地域があり、日本におけるイスパニア語の存在感も考えられている以上に大きいものです。イスパニア語を使えるようになれば、国内外でつながれる人や世界が飛躍的に広がります。
イスパニア語とイスパニア語圏の特長はその多様性にもあります。イスパニア語と言っても、ハバナ(キューバ)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、マドリード(スペイン)のイスパニア語には違いがあります。地理的広がりが大きい分、イスパニア語には魅力的な地域変種(いわゆる「方言」)が多くあります。逆に言うと、そうでありながらお互いに問題なく意思疎通できるということもそのすばらしさです。また、イスパニア語圏で暮らす人々はイスパニア語だけを話しているわけではありません。スペインでもイスパノアメリカでも、少なくない数の人々が、イスパニア語に加えて、自分の地域や民族独自の言語を併用するバイリンガルとして暮らしています。そういった多様な文化背景を持つ人たちとも、イスパニア語を使ってコミュニケーションを取ることができます。
AI翻訳などのツールを使って知らない言語でもある程度のコミュニケーションは取れるようになっていく世界ですが、イスパニア語を自分のことばとして操る使い手は必ず必要です。ぜひあなたもその一人になり、豊かな世界と直接つながりませんか?