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メッセージ
言語を習得し、それを運用するとはどういうことを意味するのだろうか。言語行為論(speech act theory)というのがあり、それは言語を発話の<行為>として用いると、社会関係を維持させたり、覆したりする効力があるという考え方である。発話行為は権力関係が絡み合うという政治性があるため、どうすれば効果的に発話を成功させるかという問いがある。文学作品が綴る「物語」のなかには、発話を政治的なダイナミックなものとして捉えるものが多く存在している。19世紀以降のとくに発話の機会を奪われてきた女性やマイノリティの物語や発話について考えてみましょう。さまざまな物語や文学作品を介して「声」を捉え直せば、なぜ社会的弱者の沈黙させられてきたのか理解でき、その「声」を掘り起こす意義も感じられるのではないかと思います。
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主な専門分野
イギリス文学、ジェンダー、医学言説、アイルランド、 English Literature, Gender, Medical Discourse, Ireland
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担当科目
English Skills B-1/B-2(2年、Eクラス)、THEORETICAL PERSPECTIVES ON LITERATURE(「おとぎ話を理論的に読む」)、BRITISH CULTURE AND FICTION 1 and BRITISH CULTURE AND FICTION 2、イギリス文化史概論ゼミ(英文学、映画分析 )、演習(イギリス文化・文学研究)
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ゼミ(演習科目)
このゼミでは、イギリスの歴史や文学史をたどりながら、ジェンダー、宗教マイノリティ、セクシュアリティ、障害者といった「マイノリティ」と呼ばれる人々がいかに文学や物語を方法論として「声」を取り戻そうとしてきたかについて考えます。これまで卒業論文のテーマとして選ばれたのは、高齢者社会とケア、シャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』と家庭教師、『ハリー・ポッター』と弱者男性、ヴァージニア・ウルフが現代日本人女性作家に与えた影響など、です。取り巻くアメリカ社会の諸問題を、関連文献で学んでいきます。受講生には、文化研究、テクスト分析、映画分析、フィールドワークといった手法を用いて研究を進めていきます。ゼミでは、各ゼミ生が選んだテーマに沿った先行研究を探したり、クリティカル・リーディングを実践したり、卒論の進捗状況を発表し合いながら、それぞれが論文を完成させていきます。