ポルトガル語学科の子安です。2025年12月3日、ザビエル祭でお休みの日に学科生、国際教養学部(FLA)所属のブラジル人の留学生、教職員など総勢53名で群馬県大泉町に行ってきました。

いたるところにポルトガル語が
大泉町は日本の中でも独特な場所です。約4万の人口に外国籍の人たちが占める割合は2割、約9000人が暮らしています。国籍はさまざまですが、半分以上がブラジルの人たちです。大泉町には戦前から多くの工場がありますが、1990年の「入管法」改正後、日系2世、3世の方たちのビザが緩和され、ブラジルやペルーといった南米日系人の就労が急増しました。当初は出稼ぎ目的の来日が多かったですが、現在では定住する人たちも多く、街中にはブラジル料理店やブラジルの食材を売るスーパーマーケット、またブラジルへの引っ越しを扱う会社などが並んでいます。お店の看板はポルトガル語で書かれ、大泉町が「リトル・ブラジル」といわれるゆえんです。

町内にポルトガル語の看板がたくさんありました。
お昼前に現地について、おいしい、ボリュームたっぷりのブラジル料理に舌鼓を打ったあと、私たちは大泉町役場を訪れました。役場には学科卒業生が勤務していて、我々を迎えてくれました。今日のためにプレゼンを用意してくれ、学科で学んだポルトガル語を生かし、現在どのような仕事をしているのか、現役の学生たちに話してくれました。我々が今回大泉町役場を訪問したいと思った理由は、上記のように外国籍の方たちが多く暮らす大泉町で、具体的にどんな多文化共生の取組が行われているのか、じかにお話を伺いたかったからです。
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大泉町公民館で多文化協働課の木月さん、健康づくり課の篠原さんのお話をお聞きしました。
お忙しい中、お二人の多文化協働課、健康づくり課の方々が同じくプレゼンをして下さいました。日本の中でも多文化共生事業のパイオニア的存在である大泉町には多くの自治体からの訪問があるそうです。最後の質疑応答の際に「外国人も日本人と同じく大泉町の住民である」という言葉が印象的でした。同じ地域に住む生活者である以上、役場としては必要な支援を行っていく、と同時に外国籍の方たちにも果たすべき義務を果たしていただくことが大切である、そうした考えの上にさまざまなバックグラウンドを持つ人々の「共生」が成り立つものなのだということを実感しました。もちろん簡単なことではないことはお話の中にもありましたが、少なくとも我々も一人ひとり考えるべきことであると思いました。

顔より大きいパルメジャーナ
バスに乗る前にみんなでブラジル食材を売るスーパーに寄りました。学生たちが楽しそうにブラジルのお菓子や飲み物を買っていてとても微笑ましかったです。中にはお昼に食べたフェイジョアーダのレトルトを買って、家でもう一回作ってみると言っていた学生もいました。

お店にはパネトーネがずらり
今回のツアーは、学生同士が学年を超え、国籍を超え交流の機会を持てたこともうれしい収穫でした。ツアー後に行ったアンケートでも「学内のブラジルからの留学生との交流ができてよかった」とか「異なる学年の人たちと話すことができてよかった」というコメントが多く寄せられました。学科として初めての取組で、来年度に向け改善点は多々ありますが、可能な限り今後もこの体感ツアーを続けていきたいと思っています。