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留学BLOG

2025.10.15

英語学科からジュネーブの国際・開発研究大学院へ

英語学科 長手愛奈

私は上智大学の「海外大学院との3+2プログラム(学部で3.5年、海外の大学院2年の合計5.5年で学士号と修士号を取得できるプログラム)」に参加しています。現在、スイス・ジュネーブにあるThe Graduate Institute(通称:国際・開発研究大学院)修士課程の2年目で、国際・開発研究学を学んでいます。

私はもともと言語に強い関心を持っており、上智大学英語学科に入学した当初は、国と国、人と人をつなぐ通訳者になることを志していました。その原点には、高校時代の留学経験があります。英語を学んでいた私でしたが、英語を話せてもなぜか上手く伝わらない、あるいは誤解が生じる場面が多くあり、不思議に感じていました。その経験を通して、言語そのものだけでは真の理解は生まれず、その背後にある文化や歴史、価値観などを含むその場のコンテクストを理解してこそ、初めて真のコミュニケーションが成立するのだと実感しました。この気付きを経て、異なる背景を持つ人々の間に、対立ではなく理解と信頼の橋をかけたいという思いが芽生えました。そして、「誰かのために何かをしたい」という漠然としながらも確かな気持ちを胸に、上智大学での学びを重ねるうち、世界が抱えるさまざまな問題に触れる機会が増え、より広い視野を持って学びを深めたいという思いが次第に強まりました。

こうしてまずは交換留学を目指しましたが、志望していた南アフリカ・ケープタウン大学の応募期間がすでに終了しており、実現には至りませんでした。当時、大学2年生だった私は就職活動への不安も抱えており、4年次ではなく3年次での留学を希望していたため、この機会を逃してしまったことに落胆しました。しかしその時、偶然にも現在私が学びを深めているThe Graduate Instituteとの3+2プログラムの存在を知ったのです。The Graduate Instituteは、国際問題を多角的かつ実践的に学べる環境と、多様な学生が集う学際的な雰囲気が非常に魅力的で、国際的な視野を広げたい私にとって理想的な学びの場でした。

The Graduate Instituteでの学びは、想像以上に啓発的で、日々新しい発見の連続です。教授陣の多くは、かつて国際機関や民間セクターで実務経験を積んだ方々や、現在も国際社会で活躍する専門家であり、現場に基づいた実践的な知識を直接学ぶことができます。授業の一環として国連機関を訪れる機会もあり、特に国連本部で行われたUPR(普遍的・定期的レビュー)セッションを実際に傍聴した経験は強く印象に残っています。その上、大学内でも、世界中から人々が集う多様なイベントが日常的に開かれ、国際社会の縮図のような環境で学習することができます。

キャンパスでは多様な言語が飛び交い、英語だけでなくフランス語、イタリア語、アラビア語など、さまざまな言葉が聞こえてきます。私自身も上智大学時代に引き続き、大学院が提供するフランス語講座を履修し、勉強を続けています。学生の背景も非常に多様で、国籍、年齢、職歴も様々です。中には長年の職務経験を経て入学した人も多く、そうした学生たち共に励むことは大きな刺激になっています。言語学専攻出身の私にとっては、国際関係や開発分野の専門知識を新たに身につけるのは容易ではありませんが、毎日が新しい学びの連続であり、その挑戦を心から楽しんでいます。また、The Graduate Instituteでは上智大学と同様に、他の専攻や学部の授業を履修することもでき、幅広い分野を自由に探究できるのも魅力の一つです。キャリア面でも、国連機関や団体によるキャリアイベントが頻繁に行われており、将来を見据えた学びの機会が豊富にあります。

3+2プログラムでの1年間を通して、私は知識だけでなく、自分自身についても多くの発見を得ました。1年目は人権と人道主義を専攻し、幅広い授業や体験を通して学びを重ねる中で、自分が最も関心と情熱を注げる分野が教育であることに気づきました。残りの1年間でさらに教養を深め、将来的には教育政策に携わり、より多くの人が教育を通じて可能性を広げられる社会づくりに貢献したいと考えています。

留学は決して簡単な道ではありませんが、挑戦の中で得られる学びと出会いは確実に自分を成長させてくれます。私自身、まだ取り組むべきことが多く、模索の途中ではありますが、一つ一つの経験を糧に前へ進んでいきたいと思います。自分の「関心」や「好き」という気持ちを大切にし、一歩踏み出す勇気を持てば、新しい可能性につながると信じています。

ジュネーブの寮の屋上からの景色