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卒業生の声

2026.11.02

卒業生の声 VOL.13
興味の点が、未来の線になる

 

伊藤あやめさん(2019卒)

みなさん、はじめまして。
私は2019年にイスパニア語学科を卒業し、商社勤務を経て、現在は行政課題に取り組むスタートアップで代表取締役を務めています。
高校時代から今に至るまで、私自身もみなさんと同じように自分の進路や将来について考え、悩みながらたくさんの人に支えられて歩んできました。これまでの経験が、みなさんにとって少しでも参考になればとっても嬉しく思います。

高校時代のあるとき、外国語を学ぶということは、単にその言語を話せるようになるだけではなく、「それを話す人たちが何を大切にし、どのような価値観を持っているかを知ること」だと考えるようになりました。言語の先にある文化や、人々のものの見方に触れたいと思ったことが、外国語に関わる進路を志したきっかけです。

高校2年生の秋、ソフィア祭で、スペイン美術を学ぶイスパニア語学科の先輩と出会いました。
会話する中で、キリスト教を軸としながらもイスラム文化など多様な影響を受けて形づくられてきたスペイン文化に強く惹かれました。もともとキリスト教美術に関心があったこともあり、スペイン美術を通して人々が何を信じ、どのように世界を捉えてきたのかを学びたいと考え、イスパニア語学科を目指すことにしました。

入学後に感じたのは、「ここは学びのテーマパークだ」ということです。
1〜2年生ではイスパニア語の基礎をしっかり学び、先生方も学生一人ひとりの興味や疑問に熱心に向き合ってくださいました。また、学部を越えて自由に授業を履修でき、「人はどのように世界を捉えるのか」という問いを深めるため、社会心理学、外国ジャーナリズム、キリスト教哲学なども学びました。自分の関心を起点に、分野の垣根を越えて学びを広げられることは、上智大学の大きな魅力だと思います。

大学3年次には、スペインのバルセロナ自治大学へ留学しました。渡航前、先生から「現地では政治や社会問題について意見を交わす機会もあるので、関連する言葉や自分の考えを伝える準備をしておくといい」と助言をいただきました。そのアドバイスは、現地の学生の話を理解し、自分の意見を伝える大きな助けになりました。政治や社会について日常的に意見が交わされる環境に身を置いたことで、社会や世界で起きていることへの関心もさらに深まりました。留学は、語学だけでなく、自分の関心そのものを広げてくれた経験だったと思います。(留学時のブログ:それでも恋するバルセロナ)

こうした学びを経て、卒業論文では、2016年の米国大統領選挙期間中におけるドナルド・トランプ氏のTwitterをAIで分析する研究に取り組みました。スペイン美術から始まった関心は、学部や学科を越えた学びの中で、社会や政治、そして「選挙」に表れる人々の価値観へと広がっていきました。その広がりを後押ししてくださった先生方には、今でも感謝しています。

卒業後は商社で貿易の仕事に就きました。スエズ運河の封鎖やコロナ禍による世界的な海運の混乱など、世界で起きる出来事が日々の仕事に直結する環境は、とても刺激的で楽しいものでした。
そんな中、国内に目を向けるきっかけとなったのが、同期との何気ない会話でした。
「選挙に行っても、自分たち若い人の意見は聞いてもらえないよね」
海外の学生たちと自国の政治や社会について自然に意見を交わしてきた私にとって、その言葉はとても衝撃的でした。
そしてちょうどその頃、市民の意見を集め、政策や社会の意思決定につなげるデジタル民主主義プラットフォーム「Surfvote(サーフボート)」を立ち上げた創業者のひとりから声をかけてもらい、現在の会社に入社しました。2025年から代表を務めています。

ここでみなさんにお伝えしたいのは、その時々に抱く興味や関心という「点」は、一見ばらばらに見えても、あとから振り返ると少しずつつながり、「線」になっていくということです。「なぜか気になる」「もっと知りたい」と感じることは、自分が何を大切にし、どんな世界に惹かれる人なのかを形づくっていきます。
学びだけでなく、出会いや経験、悩んだ時間も、その一つひとつが自分をつくる「点」になります。
だからこそ、将来がまだはっきり見えなくても、その時々に心が動く自分の感性を大切にしてほしいと思います。
最後に、私が大切にしていることを一つ。
人生の時間は有限です!そして、みなさんは自分の人生の経営者です!
何に時間を使い、何に心を動かされ、どんな人と出会い、どんな道を選ぶのか。その選択を重ねながら、自分の人生をつくっていくのは自分自身です。
だからこそ、限られた時間を、自分が心から面白いと思うこと、夢中になれることに思う存分使ってください。みなさんのこれからの人生が、たくさんの心動かされる出会いや経験に満ちたものになることを願っています。

¡Buen viaje!(よい旅を!)

(所属は取材時のものです)