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2026.08.07

「教える側」から見えたドイツ語学習の意義 - Hallo Deutschland 2026を通して -

はじめに
皆さん、こんにちは。
ドイツ語学科4年の堀川ゆいみです。同じくドイツ語学科2年の狩野晋一朗です。
この度、私たちは2026年5月9日(土)に、ドイツの国際文化交流機関である Goethe-Institut が主催した「Hallo Deutschland 2026」の決勝大会に出場しました。この大会は、台湾・モンゴル・日本の3か国共同で開催されたもので、2人1組となり、高校生向けの授業案をプレゼンテーションするコンテストです。今年のテーマは「ドイツのコミュニティ」で、各チームがテーマに沿った授業案を作成し、最終選考に残った3組がプレゼンテーションを行いました。私たちのチームは、コミュニティの事例としてドイツ南部の小都市Vaubanを取り上げ、地域に根差した授業案を提案しました。また、日本の教育課題にも目を向け、生徒主体の学びを重視した、正解のないディスカッション形式の授業構成を目指しました。
ここからは、私たちそれぞれの体験について紹介します。

体験談(堀川)
私は大学の4年間「ドイツ語を学ぶ側」として学習を続けてきましたが、今回は「教える側」に立ったことで、改めてドイツ語学習とは何かを深く考えさせられる大会でした。単にドイツ語を教えるだけではなく、学習に用いるテーマを一から考えるという経験は非常に新鮮で、狩野さんとは何度も試行錯誤を重ねながら議論を行いました。想像以上に時間を費やし、苦戦する場面も多くありましたが、私にとって特に有意義だったのは、ドイツ語学科での4年間の学びに改めて意味を見出すことができた点です。
AIが飛躍的に進歩した現代において、「異言語を学ぶ必要は本当にあるのだろうか」と感じる方もいるかもしれません。確かに、人と人とのつながりには人間自身の言葉で伝えることが大切だと言われても、実用性の面から異言語学習の必要性に疑問を抱く人もいるでしょう。しかし私は、ドイツ語学習の意義は、単に言語を習得することではなく、その先にある「世界を知り、働きかける力」を身につけることにあると考えています。
言語を知ることは、多文化を知ることでもあります。言語は社会と切り離すことのできない存在です。多文化に触れることで、自分の中の「当たり前」は大きく揺さぶられ、世界が一気に広がっていきます。日本では当然だと思われていることが、別の国ではまったく異なる形で捉えられていたり、反対の政策が取られていたりすることもあります。また、他国の事例を日本社会に取り入れることもあります。そうした経験を通して、世界情勢に対する関心や疑問がより深まっていくのではないでしょうか。
一方で、多文化を理解するためには、その国の言語を知ることが欠かせません。たとえば、日本語の「すみません」に完全に対応する表現が他言語には存在しないように、その土地や文化に根差した表現があります。そして、その微妙なニュアンスは、人工知能だけではなく、人間自身が直接感じ取り、理解していく必要があるものです。「言語を学ぶことを通して世界を知る。」その意義は、時代が変化しても変わらず残り続けるのではないかと思います。
本ブログを通して、これからの時代を担う皆さんが、AIと適切に共生しながらも、情報をそのまま受け入れるのではなく、多角的に物事を考え、他者のために、そして他者とともに活躍していくきっかけとなれば幸いです。

体験談(狩野)
Hallo Deutschland 2026を通して、私はドイツ語学習の意義だけでなく、「学ぶこと」そのものの意味について深く考える貴重な機会を得ることができました。これまでは主に学習者として授業を受ける立場でしたが、今回は「どのようにすれば相手に興味を持ってもらえるか」「どのようにすれば楽しく学べるか」を考える、教師側の視点に立って活動する経験をすることができました。この経験は、自分自身にとって非常に大きな学びとなりました。
特に印象に残っているのは、チームで一つの授業案を作り上げていった過程です。当初は、それぞれの考えをどのように授業として形にすればよいのか分からず、不安を感じる場面もありました。しかし、堀川さんとの話し合いや先生方からのアドバイスを通して、自分にはなかった新しい視点や発想に数多く触れることができました。
また、準備を進める中で、自分一人では気づくことのできなかった他者の強みにも多く気づかされました。「資料作成が得意な人」「発表で聞き手を引き込むことができる人」「アイデアを整理してまとめることが得意な人」など、それぞれの強みがあるからこそ、一つの授業が完成していくのだと実感しました。私はこれまで、「自分がもっと頑張らなければならない」と考えることが多くありましたが、Hallo Deutschland 2026を通して、「協力しながら学ぶことの楽しさ」を強く感じるようになりました。
さらに、この活動を通して、自分自身の成長も実感することができました。発表準備では、限られた時間の中で相手に分かりやすく伝える難しさに何度も直面しました。実際に練習を重ねる中で、自分では理解している内容であっても、相手には十分に伝わっていないことがあると気づかされました。しかし、堀川さんと協力しながら準備を進めたことで、最終的には自信を持ってプレゼンテーションに臨むことができました。また、堀川さんとの議論や先生方からの多面的なアドバイスを通して、「相手が楽しみながら学べる授業」とは何かを常に意識しながら考えられるようになりました。
加えて、Hallo Deutschland 2026を通して、私はドイツ語の魅力についても改めて実感しました。ドイツ語は単なる言語ではなく、文化や価値観、人と人とのつながりを広げてくれるものだと感じています。授業内容を考える過程では、環境問題や地域コミュニティなど、ドイツ社会の考え方についても深く学ぶことができ、自分自身の視野を広げる大きなきっかけとなりました。
Hallo Deutschland 2026に参加したことで、「人と協力しながら学ぶことの楽しさ」や、「挑戦を通して成長することの大切さ」に気づくことができたことは、私にとって非常に貴重な経験でした。今後もこの経験を大切にしながら、ドイツ語学習だけでなく、さまざまなことに積極的に挑戦していきたいと考えています。

終わりに
Hallo Deutschland 2026への参加を通して、私たちはドイツ語学習の意義だけでなく、「学ぶこと」そのものの意味や、他者と協力しながら一つのものを作り上げることの大切さについて改めて考えることができました。準備期間中には悩みや難しさを感じる場面も多くありましたが、その分、多くの学びや成長につながる非常に貴重な経験となりました。
今回の大会に参加するにあたり、木村護郎クリストフ先生、Sato-Prinz先生、Tateishi先生には、授業内容の構成やドイツ語表現など、さまざまな面で丁寧にご指導いただきました。先生方からいただいた温かいアドバイスのおかげで、自分たちらしい授業案を形にすることができ、本番も自信を持って発表に臨むことができました。
その結果、幸いにも「第2位」という大変光栄な結果をいただくことができました。この成果は、先生方をはじめ、多くの方々に支えていただいたからこそ得られたものだと感じています。お三方をはじめとするドイツ語学科の先生方に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
今回の経験を通して得た学びを今後につなげながら、ドイツ語学習だけでなく、さまざまなことに積極的に挑戦していきたいと思います。